時の需要に翻弄され、技術革新により見直されたカラマツ(唐松)

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樹形は美しく、秋には葉が黄金色に染まり晩秋には葉を落とします。成長が早く、木材の原料としての需要で北海道から本州中部各地で育成されていました。遊歩道の木道、盆栽、シンボルツリーとしても利用されています。

カラマツの特徴

マツ科カラマツ属の落葉針葉樹。
日本の固有種で、昔は高山地帯に天然分布していたのですが、植林が進んだ現在では全国各地でもみられるようになりました。樹高は20~40mほどになり、幹の太さは1mにもなります。日本の針葉樹の中で、カラマツはただ一つの落葉性の高木となります。

葉は針形で、白い粉に覆われた薄い緑色であり、長さは2-5 cm。秋には葉は黄色く色づき、褐色の冬芽を残して落葉します。5月に下向きの雄花と紅紫色で直立した雌花が同じ株の樹木で出来て、雌花が大きくなって松かさになります。松かさははじめ緑色ですが、受粉後4~6ヶ月が経過して十分に熟すと、茶色に変化して種子を散布します。通常、古くなった松かさは樹にそのままついており、鈍い灰黒色に変色します。

 火山地帯に生育することが多く、荒れ地・痩せ地・湿地に生育し、林形成の過程で最初に生えるパイオニア的性格 を持つ樹木です。

時代に翻弄されて利用目的が消えうせ、見直される

戦後に将来の投資として大規模な植林がされました。カラマツはヤニを含んでいる為、パルプ材としての利用が難しく、材質としては割れや狂いが生じやすい特徴があります。当時の技術では板材としては利用が難しかったため、炭鉱や工事で使う坑木、電柱として利用する目的でした。
しかし伐採時期になった現在は坑木の用途は無くなり、鋼材やコンクリートに置き換わってしまいました。時代の変化とともに利用価値がなくなってしまったのです。

しかし、最近の木材加工技術が向上しカラマツの欠点が克服されつつあり、積極的にカラマツ材を利用する動きが出てきました。

木材を蒸気で蒸すことで、ヤニを封じ込め、ねじれも直し乾燥 もさせるという技術の開発によって、合板、梱包材としての木枠や、集成材という加工技術を使い大規模な建造物にも使われています。

酸性の強い湿地では、従来使っていたナラやブナでは腐食が激しいため、尾瀬の木道はカラマツに置き換わっています。そして利用が終わったカラマツの木道材はパルプ材として再利用され始めています。

【尾瀬が原の木道】

盆栽として注目を集めています。

春の芽出し淡緑、夏の濃緑の鮮やかさ、秋の黄葉もすばらしく、落葉後の寒樹は素朴さをかもしだしているので、四季折々の姿が楽しめる盆栽です。カラマツはいかに夏を涼しく過ごさせるかが大事です。

シンボルツリーとして利用する。

火山性土壌を好むが適応力があり、土質を選ばずに育ちます。痩せ地や乾燥地にも耐えます。日向でも日陰でも成長します。肥沃で適湿な場所を好みます。葉の剪定を行う際は葉を切るのではなく、枝を摘むようにして剪定を行います。寒さに強く、北海道でも植栽できますが、暑さには弱く、暖地では葉の観賞価値が下がります。

成長の早さと圧倒的な存在感、新緑の美しさなどがシンボルツリーとして魅力的ですが、秋に大量の針葉が落葉しますので、それをよしとするか管理の面で検討しておく必要があります。

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