秋の黄葉と赤実が美しい。若葉や実も食べられる、サルトリイバラ。

未分類

秋に赤い実を付けるツル性の植物です。若葉は食用に、実は生食や果物酒に利用できます。実や秋の枯れかけた葉の色合いには味があり、節ごとにジグザグに折れ曲がる特徴的な枝も花材として珍重されます。地方では葉を柏餅を包むところもあり、五郎四郎餅とも呼ばれています。

サルトリイバラの特徴

サルトリイバラ科(ユリ科)シオデ属のつる性で、雄雌異株です。
東アジアに分布しており、国内は北海道から九州までの山野や丘陵の林縁や林内などに自生しています。地を這い2~3mの樹高になる事も多いですが、他のものに絡みながら高さ5~6mほどまで登りつめまる事もあります。

根茎は固く屈曲していて横に這って太く、茎の長さは70cmから数mになります。
根元は太く、細い緑色の枝をたくさん分枝してつる状に伸びます。ツルには、まばらな緑の棘と長めの巻きひげで絡まり、藪を作ります。「猿さえも脱出できず、人間に捕らえられてしまうという」という意味で「猿捕り茨(いばら)」という名が付いたそうです。つるは這うように伸びて節ごとに曲がり、ほかの低木の枝から枝へと絡みつきます。

葉は直径3~12センチの円形あるいは楕円形で枝から互い違いに生じます(互生)。葉の縁にギザギザはなく、表面には光沢があります。

4~5月になると新葉とともに葉腋(葉柄の付け根)より花茎を出して、それぞれ雌雄の花を多数咲かせますが、黄緑色の小さな花であまり目立ちません。雄花には雌しべが6本あります。9~12月以降、雌株には果実ができます。直径1センチほどで光沢があります。果実は晩夏から赤く色づき始め黄葉のころに熟します。果実の中には堅い種子が2~5粒入っています。

中国に近縁種である「ケナシサルトリイバラ」という植物があり、「山帰来(サンキライ)」という俗称があります。日本には自生していなのですが、日本のサルトリイバラの方も、俗称として「サンキライ」と呼ばれており、名称が混在しています。

鑑賞以外の楽しみ

若菜は茹でると食用になります。そのままてんぷらや、軽くゆでて水にさらしマヨネーズあえなどシンプルな料理も良いですね。実は生食でも食べれますが、ホワイトリカーに漬けて赤くなった果実酒も良いです。

西日本では「サンキラ」と称して、カシワやホオノキと同じように塩漬けした葉を饅頭や餅を包むのに用いる事があります。

根茎は地上のツルと同様に木質化して、節の多い独特の形状になります。これにはサポニンやタンニンが含まれ、秋に採取したものを乾燥させれば「和山帰来」という漢方薬になりますが、効果のほどは良くわかっていません。

育て方

丈夫な性質を持つが、乾燥した日向を好みます。樹勢は強く、放置すれば縦横無尽に広がりますので、トレリス等やフェンスに絡ませて管理すると良いです。定期的に剪定して繁茂するのを防ぐ必要があります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました