クスノキ科には、食用のアボカド、線香の原料のタブノキ、シナモンで有名なニッケイなど、有用な植物が多いです。今回はその代表格のクスノキについて深堀してゆきます。
クスノキ
クスノキ科ニッケイ属の常緑高木ではありますが、葉の寿命は1年で春になると前年の葉は赤くなり、関東では5月頃に落葉します。 茨城県以南の暖地に分布します。 光沢のあるライトグリーンの新緑が美しく、枝葉をちぎるとハッカのような芳香(樟脳臭)を放つのが特徴です。
新葉及び葉の付け根(葉柄)が赤いものと緑色のものがあり、前者をアカグス(赤樟)、後者をアオグス(青樟)と呼んでいます。庭木としては芽吹きの美しいアカグスが好まれます。
材や枝葉を水蒸気蒸留する事で、無色透明な個体(樟脳)が採取できます。樟脳は防虫剤、防腐剤として優れており、 血行促進作用や鎮痛作用、消炎作用、鎮痒作用、清涼感をあたえる作用などもあります。
木材にも利用されています。
木材は虫害や腐敗に強いため、建材や家具、彫刻、仏壇、仏像、丸木舟などに利用されています。
シンボルツリー、防風林としてのクスノキ
葉は分厚く密度が高く、大木となるため、木陰を作る緑陰樹として公共の場所や店舗、会社のシンボルツリーなどとして植栽されたり、交通騒音低減のための街路樹として植えられています。
千年以上にもなるという樹齢の長さから、クスノキは神聖な木や縁起のいい木とされ、神社仏閣の御神木や天然記念物に指定されたクスノキの大木も各地で見られます。
ダニを飼うという共生?の世界
葉の付け根に近い3本の葉脈があり、この葉脈の分岐点には2種類の大きさが違う捕食性のダニが住む袋が作られている。このダニは植物の栄養をもらいながら、葉を害する植食性のダニを補食することでクスノキを守っていると考えられています。お互いに助け合う共生の可能性があると言われています。
アオスジアゲハの餌になる
クスノキ科の葉は、アオスジアゲハの幼虫の餌になります。前章では葉に住んでいるダニが植物自体を守っている内容をお伝えしましたが、さすがにアゲハの幼虫の様な大きいものは、守れませんね。
最後に
今では合成樟脳や、化学防虫剤の出現で一気にその生産を減らしました。国内でも現在ではクスノキに由来する天然樟脳の生産は小規模なものが一部あるだけです。樟脳を知らない世代も増えている中で、あらためて自然由来のものを使うれしさ、ありがたさを感じ伝えてゆきたいものです。
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