コウゾと並ぶ和紙の原料ですが、観賞用としても販売されており、公園や庭で花を咲かせるミツマタを見る事があります。日本のお札の原料としても使われています。ミツマタの世界をご紹介しましょう。
植物の特徴
ヒマラヤ原産で古く中国から伝わってきたジンチョウゲ科の落葉低木です。日本では高知県を中心に各地で栽培され、今では一部野生化しています。
春になると新葉が芽吹く前の枝先につぼみが出来開花します。下を向いて咲く花には芳香があり、小さな花が集まってボンボンの様な半球形をつくります。花の色は黄色ですが、中には赤い「アカバナミツマタ」という種もあります。開花時期は2月から4月頃ですが、黄花品種のミツマタ(三椏)よりもアカバナミツマタは花期が少し早い様です。
枝は3つに分枝する特徴が「ミツマタ」の名前の由来となっています。実は同じ科で春に強烈な芳香を放つジンチョウゲも枝葉3つに分岐しており、花の付き方も似ています。木の枝が1年に1度、三叉に分かれるので、それによって樹齢がわかります。
■和紙の里のミツマタ(2分40秒)
飯塚 満智子 様
和紙の原料で、しかも1万円札の原料なんです。
ジンチョウゲ科の植物は皮中の繊維が強靭で、幹の強度を大きくしています。繊維の収穫は真冬に行なわれ、大釜で煮た後に皮をはぎ、水で晒してから乾燥して出荷します。同じ科の「ガンピ」や、クワ科のコウゾとともに和紙の原料です。ミツマタを原料とした和紙は光沢があり丈夫でしなやかという特徴があります。
■和紙ができるまで 阿多古和紙を漉く(5分40秒)
toruuedayt 様
ミツマタで漉いた紙は、皺になりにくく高級で、また虫害にもなりにくいので、1万 紙幣をはじめ証書、株券、地図用紙などの原材料の一つとして欠かせないものです。国内産と、ネパール・中国から輸入したもので生産しているそうです。
花材用として、枝の美しさ
ミツマタの枝葉は、フラワーアレンジメントなどに素朴な枝の美しさを表現する花材として利用されています。様々な着色が施されているものが多く、表現力があります。
育てて観賞する楽しみ
日なたから明るい日陰まで幅広く植えることができますが、若い苗木のうちは直射日光が当たらないほうがよく育ちます。西日の当たらない場所や、高木の株元近くで木もれ日の当たる所が良いです。水はけがよく、肥沃な土を好みます。 3月から4月上旬が植え付けの適期です。
最後に
古くから和紙の主な原料は、楮(こうぞ)、みつまた、雁皮(がんぴ)の繊維を中心に使われてきました。それぞれに優れた特質があり、いずれも繊維が長くて強靱で、光沢があります。
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