奇抜で派手な葉の形が植物好きを魅了します。板付してハンギング、鉢植えなど植え付け方法もさまざまで楽しめます。
古風な命名と、特徴ある葉の構造
ウラボシ科ヒガクシダ属の一群で、熱帯域の樹木や岩などに付着して生育する着生シダです。東南アジア、オーストラリア、マダガスカルなどの世界の熱帯に分布しています。ヒガクシダは漢字で「麋角羊歯」と書き、 麋角は雄のオオジカ(ヘラジカ)の角に似ている所から来ています。別名で「コウモリ」シダとも呼ばれており、こちらの方が私たち日本人にはイメージしやすいのではないでしょうか。
ビカクシダは、前方向に伸びて目立つ胞子葉と、株元の貯水葉の2種類の葉が特徴です。貯水葉は寿命がくると茶色に変色して枯れて、株元に積み重なり、スポンジのような構造になって水を貯える他、上から落ちてくる落葉を集め、肥料分を確保する働きがあるそうです。
株の特性と育て方
シダ類の中ではある程度乾燥に耐えますが、 着生種なのでメリハリをつけた水やりが大切です。夏の強い直射日光で葉焼けしたり、冬は室内に置いて寒さに当てないようにするなど、着生種の多い洋ランの栽培と共通する点が多い様です。
ビフルカツムなど日光を好む種類や、直射日光を避けた明るい日陰が適する種などがあります。種類によって適する日照条件が異なるので注意してください。
仕立て方
鉢植えで管理すると水やりの手間があまりかかりません。板などにつけてハンギング仕立てで栽培すると見た目がより楽しくなります。
最近では、コケ玉に植えて天井から吊るす方法など、さまざまな方法が考案され、スタイリッシュなお店で見かける事が多くなりました。
種類もさまざま
また種類によって株姿は様々で、コレクションする楽しみもあります。丈夫な種類は意外と簡単に育てられるので、まずは気軽に栽培してみてください。
■ビフルカツム
最も一般的な種類で、ビカクシダの和名は本種を指します。日光を好み乾燥に強く、環境適応性が高いので初心者にも育てやすいです。大きくなりすぎないのでコンパクトに仕立てやすいです。
■ビーチー
性質や栽培は一般的なビフルカツムに準じますが、特に日光を好みます。
■グランデ
ユニークな貯水葉が人目を引く大型種です。 春から秋の成長期は、葉焼けしないよう直射日光を避けた明るい場所に置きましょう。冬は室内の明るい場所で12℃~15℃以上保つように管理してください。
■ネザーランド
ビフルカツムにオランダで改良を加えた品種です。ビカクシダの中では寒さに強いため、育て方が簡単な品種と言えるでしょう。
■アルシコルネ
アフリカ東岸・マダガスカル島が原産の品種です。ビフルカツムに似た外見を持ちますが、貯水葉が丸くて端に切れ込みがないのがアルシコルネの特徴です。
■リドレイ
日光を好み、冬は室内の暖かい場所に置きます。あまり大きくならず比較的手頃なサイズです。
■エレファントティス
丸い2枚の葉が象の耳に例えられます。大型にならない種類で日光を好みます。寒さには弱いので、冬は室内のできるだけ温かく明るい場所で管理してください。
■ウィリンキー
銀白色がかった胞子葉が長く垂れ下がるのが特徴で、大型になります。日光を好み乾燥に強く生育は旺盛です。寒さには弱いとされますが条件により意外と強いとも言われています。
最後に
ヒガクシダは最近、いろいろな種が手に入る様になってきました。通販はいろいろな種類を一度に検討できますので、ぜひこの機会に楽しんで頂ければ幸いです。
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