早春に、真紅の花を枝に咲かせて美しいのが和名の由来です。秋には燃え立つように美しい紅葉が見られ、樹高30mに達する大木のそれは圧巻です。氷河期の遺存種で、主に岐阜・愛知両県の一部の湿原周辺に少数が自生しています。大切にしてゆきたい高木です。
ハナノキの特徴
カエデ科カエデ属の落葉高木で、雌雄異株です。樹高は30mに達します。
日本の固有種で、長野県南部・岐阜県南部・愛知県北東部の3県県境のおもに木曽川流域の山間湿地に自生しています。氷河期の遺存種で、長野県大町市の居谷里湿原に隔離分布しています。また、近縁種のアメリカハナノキは、遠く離れて米国北部、カナダの沼沢地や川岸に隔離分布しています。
4月、葉が出る前に真紅の花が咲きます。特に雄花は上向きに多数集まってつき、目立って美しい。雌花は長い柄の先に下垂れしてそのまま実に育ちます。
葉は対生すします。葉身は長さ2.5-8cm、幅2-10cmの広卵形で、掌状の3脈があり、ふつう先が浅く3裂しますが、ときに無裂のものもあります。葉先は鋭くとがり、基部は浅心形から広いくさび形、裏面はふつう粉白色になります。自生地などが国の天然記念物に指定されています。
野生は非常に珍しいですが、増殖された株が植物園や公園のほか、街路樹として全国に植えられています。大気汚染に弱いので、環境ストレスの強い場所は不向きだと言えます。
樹皮や葉を煎じて洗顔に用いるところもあり、「目薬の木」あるいは「目洗いの木」という方言があります。同じ「ハナノキ」はシキミ科シキミの植物を指す場合がありますので、注意が必要です。
育て方
乾燥を嫌い、湿潤で水はけがよく、肥沃な土壌を好みます。植栽適地は北海道南部~九州です。 特に乾燥は大敵です。ひどく乾かすと枝葉の伸びが鈍り、秋の紅葉は綺麗に色づきません。夏に翌年咲く花芽ができるので、剪定は控えた方が良いでしょう。植え付けは落葉期が良いです。
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