冬期に赤い実を付ける庭木としては、花の少ない冬を彩る存在です。この実は野鳥が好んで食べに来ます。実のない時期でも、常緑で光沢がある濃い緑の葉と灰白色の木肌とのコントラストや、紫色を帯びる葉柄や新梢も観賞価値があります。「鉄(くろがね)持ち」は縁起が良いと、昔から庭に植える人も多くいるそうです。
クロガネモチの特徴
モチノキ科モチノキ属の常緑高木で雌雄異株です。本州(茨城・福井以西)から沖縄まで分布します。
葉は革質で楕円形やや波打つことが多く、深緑色で表面にはつやがあります。若い茎には陵があり、紫っぽく色づくことが多いです。春に新芽を吹き葉を交替します。寒さに弱いため関東では冬期に寒さと乾燥ですべての葉を落とすことがあります。
初夏になるとあまり目立ちませんが、葉陰に淡紫色の花が咲きます。
実がなるのはメスの木のみですが、オスを植えなくても実はなります。秋には6mmほどの真っ赤な球形の果実をたわわに付けます。
若い枝や葉柄が黒紫色であることや、葉が乾くと鉄色になることからクロガネモチと名付けられたそうです(鉄のことをクロガネという)。「モチノキ」や「ヤマグルマ」と同様に、樹皮からは鳥もちや染料を採取できます。また材は農具の柄に使われました。病害虫、大気汚染に強く、耐煙性、防火性に優れため、公園や街路樹にも利用されています。かつて「モチノキ」が日本庭園に不可欠でしたが、近年はクロガネモチの需要がより多い様です。
■クロガネモチの実を丸呑みするメジロ(約4分)
ichiro kobe 様
似ている他の木々
同じモチノキ属である「モチノキ」や「ナナミノキ」に似ています。
葉や実に違いが見つけやすいです。
モチノキ | ナナミノキ | クロガネモチ | |
葉柄 | 黄緑色 | クロガネモチより涼しげ モチノキより厚みがない | 黒紫色 |
最大樹高 | 10m程度 | 10m程度 | 20m以上 |
実の様子 | 長さ約1㎝で球形。 くすんだ朱色で実は少ない | 長さ約1㎝でやや縦に長い | 6mmくらい。 鮮やかでタワワ |
育て方
株は雌雄異株なので、庭に植えて実を観賞するなら雌株ということになります。タネまきで苗を育てるのでは雌株を確保するのに効率が悪いため、苗づくりはもっぱら雄株に雌株の枝をついで行われています。そのため、根元近くから出たひこばえは雄株の枝かもしれないので切っておきます。
鉢植え、庭植えともに水はけのよい肥沃な土であれば、日なたから日陰まで栽培できます。ただし、年数がたつと幹が太くなり根も太く張るため、庭植えでは建物の基礎や塀の基礎に影響しない場所を選んで植えます。(みんなの趣味の園芸より)
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