ツゲの木材は、木目が細かく緻密で加工後の狂いが少なく黄色みを帯びて美しく、古来より細工物の材料として親しまれてきました。とりわけ日本で重用されたのが櫛です。
ツゲの特徴
ツゲ科ツゲ属の常緑低木で、主に西日本の暖かい地域に分布する日本固有種です。
葉は対生し、楕円形で厚く光沢があり硬いです。花期は3月~4月で、淡黄色の花弁のない小さな花をつけます。9月10月ごろに結実します。種が熟すと果実が裂け、種が放出されます(裂果)。
とても成長が遅いため植林が追い着かず、材として使える現存数が少なくなっています。庭木としてはあまり利用されません。
似た植物としてモチノキ科の「イヌツゲ」がありますが、しばしば「ツゲ」と呼ばれ、成長が早いので庭木として利用されています。イヌツゲは雄株と雌株に分かれる雌雄異株で、葉はツゲが対生であるのに対し互生です。また、イヌツゲの果実は割れずに黒く熟すといった点を見れば、両者が容易に見分けられます。マメツゲ、キンメツゲなどの園芸種があります。
加工用として昔から利用されてきました
本黄楊とも呼ばれる本材は黄褐色で木質が極めて緻密である為、櫛・将棋の駒・印材などに幅広く利用されます。
育て方
植えこみは、4月や7月~10月が敵期で、腐食質に富んだ肥沃な土地が良いです。整姿、剪定は3月、7月、10月に樹幹をそろえる程度に軽く刈り揃えます。幹に多数の不定芽を出すので、早めにかきとりましょう。直根性で移植はほぼ不可です。
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