日本全国に自生している山菜で、若芽は「タチシオデ」とともにアスパラガスに似た第一級の山菜として好まれています。栽培もされておりますが、量産されていないので貴重な山菜です。最近では苗が通販で入手できますので、ご自宅で育てて山菜を収穫するのも楽しいですね。
シオデの特徴
ユリ科シオデ属で、雌雄異株のつる性多年草です。日本全土の山地、林縁に自生します。
茎は空に向かって真っすぐに長く伸び、やがて、葉脈から出る托葉(たくよう)から変化したつるが他のものにからみついて2~4mほどに成長します。葉は長さ5~15cmの卵状楕円形で光沢があり、互生して先端は尖ります。葉柄は1~2cmで鞘状になり、基部は長い巻きひげがあります。
花は、5~8月に葉の脇から長い花茎を出して、淡黄緑色の小花を球状につけます。
秋に径1cmほどの球形の果実が出来て黒く熟します。種子は直径3mm程度の黄~赤色の球形で、硬質です。自生地では、地面に落下した種子が翌春に地下発芽、発根して、そのまま地中で越冬し、地上に芽が出るのは翌々春になります。
冬は葉とともに枯れ、地下部に新たな芽を形成し、越冬します。
近縁種には、花期がシオデより早く春に咲き、葉が薄くて光沢が無く裏が白い「タチシオデ」、茎が太く直立し、葉が密に互生する「サドシオデ」があります。また同じシオデ属に「サルトリイバラ」があり、こちらは赤い実がなります。
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Let’s Green Life 秋の黄葉と赤実が美しい。若葉や実も食べられる、サルトリイバラ。
山菜、民間薬としても利用されます。
古くから「山のグリーンアスパラガス」、「山菜の女王」と呼ばれ、山菜の中でもくせが無く、味が良いとして親しまれ、新芽、若葉を食します。4~9月ころに採取して、熱湯でかるく茹でた後に水にさらします。お浸しや和え物、酢の物、汁の実や、マヨネーズあえなど利用範囲が広く、薄くころもをつけて天ぷらなどもにも合います。
シオデと形状が似ている近縁種で、つるが細く食味が劣るといわれる「タチシオデ」も山菜として採取されます。地域によっては、シオデを「本シオデ」と呼称しています。
秋に根茎を掘り起こして天日で乾燥させたものを、生薬(馬尾伸筋:ばおしんきん)として利用されます。
育て方
種からの栽培は可能ですが、手間が掛かる事もあり苗を購入して育てる方が失敗は少ないです。
蒔いた年は地中で根を伸ばすだけで、その次の年から地上に芽を出すようになります。播種時期は、秋播きの場合は採種後に播種し、春播きの場合は種子を土中または冷蔵庫に保存しておき、翌春に播種します。新芽数本の収穫後、さらに新芽(副芽)が伸びだしますが、この芽は株養成のために残しましょう。
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