日本でも実が食べられるのか? オオイタビ

品種のご紹介

生垣や壁の緑化、観賞用に利用されるオオイタビですが実は熟すと食べられます。ちょっと変わったイチジク属のお話です。

植物の特徴

雄雌異株のツル性植物です。 東アジア南部に分布し、 日本では関東南部以西、特に海岸近くの暖地に自生し栽培もされています。イチジク属の植物なのでイチジクの実と同じ、実を割ると中に無数の小さな花がいっぱい詰まっている構造を持ちます。

実はイチジク属の受粉は、イチジクコバチと呼ばれる昆虫によってのみ完了できるのです。そしてイチジクコバチにも様々な種類があって、各イチジク属の受粉はその種だけに共生できるイチジクコバチによってのみ成立するそうなのです。

さて気に成る実ですが、雄株・雌株でも実はできますが内部の花の構造が違います。本来実が熟すためには前述したイチジクコバチが必要なのですが、日本での気候は四季がありイチジクコバチには寒すぎる環境のため、存在していないと言われています。しかし、時々数ある実の中には 紫色に熟して柔らかくなった果が出来る事があり食べられます。

イチジクコバチが居ないのに、なぜ熟す?

熟すためには何らかの受粉行為が昆虫等でなされたと思われます。イチジクコバチの中には、受粉に関与せずに実に穴をあけて産卵する別の種が発見されました (ソース元:季刊誌「生命誌」通 巻32号 ) 。その昆虫は花粉の受け渡しには全く寄与していないのだそうです。この様な虫が居るという事は、まだ突き止められていないですが、実を熟させるなんらかの昆虫が日本にいそうですね。

自生種、園芸種が販売されている。

オオイタビは緑化塀等にも利用されることから栽培もされており、なかには園芸種もありますので、観賞用として楽しむ事ができます。

変種のアイギョクシの実は食用にされる

同じイチジク属のツル性植物で、台湾に自生しているアイギョクシの実は、ペクチンを抽出して食用(ゼリー菓子:オーギョーチ)にされます。

最後に

オオイタビ、アイギョクシ共にイチジク属の植物で、イチジク同様に未熟な実を切ると白い汁が出てきます。虫との共存を選んだイチジク属ですが、これらの媒介となるイチジクコバチの数が減っているそうです。実をコバチの幼虫に食べさせて育て、大人になったコバチに花粉を確実に運んでもらうイチジク属の戦略は神秘的ともいえますが、コバチが絶滅するとイチジク属も種を増やせなくなるという致命的欠陥も持ち合わせています。

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