特に手入れをしなくても狭円錐形の非常に整った樹冠を形成するため、世界三大公園木(造園木)の一つに数えられています。材は水に強くて朽ちにくいことから、現在でも湯船材や橋梁材として重宝されています。針葉は長くて柔らかくしなやかで、2枚の葉が合着する珍しい形態をもっています。
コウヤマキの特徴
マツ目コウヤマキ科コウヤマキ属の常緑針葉樹。
コウヤマキ科は1属1種であり、コウヤマキのみを含みます。かつては世界中(北半球)に広く分布していましたが、現在自生集団は日本にだけ残存しているため、日本固有種ともいわれています。東北地方南部や、木曽以西の本州、四国及び宮崎県以北の九州に点在しています。
常緑高木で高さ30m以上、直径1 mに達するものがあります。特に手入れをしなくても狭円錐形の非常に整った樹冠を形成するため、造園木として重宝されています。
葉は肉厚な線形で、幅は3㎜、長さは6~12㎝ほどになります。表裏とも中央に溝があり、先端は少し窪むため手で触れても痛くありません。短い枝では2本の葉が対になり放射状に生じます。樹皮は若枝では赤褐色ですが、後に灰褐色に変わります。
3~5月に花(雌雄同株)が咲きます。雄花はクリーム色で、雌花はオレンジ色を帯びた緑色になります。花の後にはマツボックリのような実(球果)ができます。マツボックリは直径6~12㎝ほどの楕円形または円柱形で1年以上かけて褐色に熟します。中に含まれる種子は1㎜弱の楕円形で小さな翼を持ち、秋になると風で拡散されます。
利用用途
材には独特のフルーティーな香りがあり、別名をクサマキ(臭い槙)と言います。
抽出されるオイルには保湿力を高める効果があり、エッセンシャルオイルや美容液として使われます。また、民間療法として歯周病の治療に用いることがあります。
古墳時代の遺跡からは棺が、弥生時代の遺跡からは建材として使われた形跡が見付かっています。
地方によっては、切った枝を仏前、墓前にお供えされることが多い様です。
育て方
天然では山の尾根筋などの崖地でも分布しています。基本的には土を選ばず、乾燥にも耐えて育ちますが、水はけのよい肥沃地に植えるとより良いです。大気汚染や西日には弱く、条件の厳しい場所では葉の色が悪くなります。
一般的な樹木よりは日陰に強いため、日陰のシンボルツリーとして使用できるが、日陰では枝葉の密度が低くなり、間延びしたような樹姿になります。
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