秋の季節が近づいてくると、日本全国の山地や刈込管理がされている河川堤防などで、薄紫の花を見かける事ができます。山野草として楽しむのも良いですが、新芽などを食べる事ができます。根は生薬として咳やたんの薬として利用されてきました。
近縁種もあり、葉の形がいろいろと変わる。ツリガネニンジンの特徴。
キキョウ科ツリガネニンジン属の多年草です。
北海道から九州の各地に分布し、山野のススキ草原や溜池の堰堤などに生育します。
根は白く肥厚する特徴があり、全体に毛があります。花茎の高さは 40cm から 100cm になります。
茎葉は下部に多く、通常4枚が輪生します。茎葉の形は長楕円形、卵形、楕円形、披針形と変化が多く、やや厚みがありつやがありません。根から直接出る葉は(根生葉)は丸いハート型で、開花期には枯れます。直立した茎を折ると白い乳液が出ます。
8月 から 10月、茎頂に淡紫色から白色の花を数段にわたって輪生させます。花は釣鐘形で先は5裂してやや広がっています。冬は落葉して地下茎のみで冬を越します。白い花を咲かせるものは「シロバナツリガネニンジン」と呼んで区別されます。
ツリガネニンジンは変異の多い植物であり、花冠の大きさや形、葉の形などに変異が大きいそうです。ツリガネニンジンの高山型の「ハクサンシャジン」は高山の砂礫地に分布しますが、両者は生育環境の違いで姿形が異なるが、実際には同じ種であると言われています。
近縁種として、ソバナ、ツルニンジンなどがあります。
山菜や生薬として
春の若い芽は、山菜のトトキとして食用にされます。春に芽を摘み、和え物、お浸しや、てんぷらにします。独特の香りがあり美味しいそうです。繊維がしっかりしているので細かく刻んだ方が食べやすい様です。
夏の終わり頃に2年以上経った根を掘り、細根を取り除いて日干ししたものが生薬「沙参(シャジン)」です。その煎じ液は、去痰、鎮咳を目的に服用します。苦みやえぐみがあるので、シャジンの半量ほどの甘草や茶さじ1杯の砂糖を加えると良いとされています。
育て方
耐寒性は強くて、凍らせなければ越冬できます。軒下や棚下でもかまいません。
水はけのよい用土が適し、山野草の培養土が手軽です。やや酸性土を好みますから、鹿沼土等をまぜるのも良い様です。
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